Top > 読書 > 2012 > 01 > 台湾国民中学歴史教科書

Tag: 書籍 歴史 台湾

内容(「BOOK」データベースより)
台湾で話題沸騰した画期的教科書の完全翻訳!台湾のすべての中学生が使用する国定教科書。従来の中国史(大陸史)を中心とした歴史教育を全面的に見直した編集により、わかりやすく台湾通史を概説。台湾独自の歴史観を明確に主張。日本植民統治時期を客観的かつ積極的に評価。
内容(「MARC」データベースより)
台湾のすべての中学生が使用する国定教科書。従来の中国史(大陸史)を中心とした歴史教育を全面的に見直した編集により、わかりやすく台湾通史を概説し、台湾で話題沸騰した教科書の完全翻訳。〈ソフトカバー〉
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
蔡 易達
昭和33年(1958)、台湾・南投県生まれ。台湾・文化大学日本研究所修士号修得。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。拓殖大学日本文化研究所客員研究員。台湾研究フォーラム運営委員。共著書に『チャイニーズ・ポップスのすべて』『台湾人のまっかな本当』(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

レビュー1:「日本に好意的に書かれている」とも批判される台湾史の教科書。しかしイデオロギー的に偏っているわけではない。台湾を統治したオランダ、清朝、日本が台湾で行った政策の良い面と悪い面を併記しているからだ。客観的な見方で歴史を認識していこうとするこの教科書は、反日イデオロギーに染まりがちな他のアジア諸国のものとは違う。教育問題を考える人だけでなく、台湾を知りたい方にも勧める。

レビュー2:台湾の中学生が使用する初めての台湾史教科書である。1997年になってはじめて台湾の歴史が「郷土史」という位置づけで教えられることになったという。

台湾史は1600年代前半のオランダ人・スペイン人の占領時代から始まると言っても過言ではない。その後、鄭成功の時代、清の統治と続く。ところが、18世紀に入るとまたほとんど記述がない。ようやく1874年の日本出兵を機に、沈葆'テイの台湾建設や劉銘伝による台湾省統治が記される。

1895年から1945年までの日本殖民統治時期の記載が長いことに驚く。143頁中36頁を割いているから本書の1/4を占めていることになる。当初日本による接収に抵抗した様子が書かれている。日本は大軍を出動させ鎮圧し、台湾軍民の犠牲者は14000人の多きに達するとあるが、これは多くの日本人にとって知られざる史実ではないか。日中戦争から第二次世界大戦において台湾籍日本兵の総数は20万人余の多きに達したという。
統治体制の特徴として、典型的な警察政治や保甲制度をあげている。保甲による「纏足と弁髪の追放、風俗の改良、迷信打破などの運動、農業改革の推進」などは肯定的に書かれている。教育と学術の発展にも寄与したことは、1945年の学齢期児童の入学率80%に表れている。いかにも日本人らしいのは「時間厳守の観念の養成」である。必ず時間通りに出勤簿に著名すること、勝手な遅刻早退を許さないこと、交通は時刻表を定め、時間通りの発着と目的地への到達を行ったという。

戦後の政治史部分はわずかに12頁しかない。特に違和感を覚えるのが蒋介石統治時代であり、ほとんど何も書かれていない。蒋中正という言葉自体1の文脈に2度書かれているのみである。代わりに蒋経国の写真が2枚も「先生」という敬語付きで掲載されている。

日本時代や戦後史の記述に「妥協と遠慮が感じられる」と訳者はいう。それを差し引いても得るところは大きかった。

購入動機

アジア as No.1という日経ヴェリタスの表題にもあるように、アジアをもっと知ろうと思ったことだが、隣の国の歴史をしっかりと知るのは意外に難しいことだと実感させられた。インターネットの発達した時代だが、「客観的な事実、政治的に歪められている事実、それぞれの国民が信じている事実」どれがどれなのか、はっきり言って見極めが難しい。


リロード     ホーム 一覧 検索 最終更新 バックアップ リンク元   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: Sun, 22 Jan 2012 22:19:59 JST (2372d)